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Posted on 2013-12-04
愛する人に贈りたくなる「星の王子さま」ドリアン助川

「星の王子さまからの贈り物: サン=テグジュペリの言葉」
は、星の王子さまが大好きな人におすすめの本です。

ほぼ1ページごとに違う装丁がすてき!
手がかかっていますねぇ。

詩人であり作家のドリアンさんが、
「星の王子さま」の中から、主に愛に関するシーンをピックアップして翻訳。
(なので、いろんな星の住人や、ウワバミやヒツジの話はほとんどありません)
さらにサン=テグジュペリの人生と重ね合わせて、星の王子さまの世界を語っているのです。
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「星の王子さま」は内藤濯さんの訳本(岩波書店)でずっときていましたが、
著作権が切れたあと、いろいろな訳が出ています。

ドリアンさんは、やはり詩人。訳が美しい。
ちょっと内藤さんと比較してみましょう。

「君のバラが、君にとってそんなにも大切なのは、
君が彼女のために尽くした時間のせいなんだよ」

ドリアン助川訳

「あんたが、あんたのバラの花をとても大切に思ってるのはね、
そのバラの花のために、時間をむだにしたからだよ」

内藤濯訳

これはキツネが王子さまに話す場面。
意味は同じでも、ニュアンスが違いますね。

時間を使ったことをどう表現するかで、だいぶ印象が違うなあと。

また、王子さまとバラが初めて会うシーン。

「君はなんて美しいのだろう!」
「そうでしょう」
花はゆったりとした声で答えました。
「だって私、太陽といっしょに生まれたの……」

ドリアン助川訳

「きれいだなあ!」
「そうでしょうか」と花はしずかに答えました。
「あたくし、お日さまといっしょに、生まれたんですわ」

内藤濯訳

時代も感じますね。
内藤さん訳は、昭和37年(1962年)ですもんね。
「あたくし」「ですわ」なんて、60年代の日本映画っぽい感じ?

いい悪いというわけじゃなく、
イメージされるバラ像(女性像)が違って面白いですよね。

でも、内藤さんのすばらしいところは
“Le Petit Prince”(小さな王子さま) を 「星の王子さま」と訳したこと。

「星の~」とつくだけで、全然印象が違います。
イメージがグンとわいてきます。
 
 
本の構成は3部で、「いとしい君へ」「君が美しいわけ」「星の贈り物」。
タイトルに胸がときめきますね~。

翻訳とともに、ドリアンさんの文章が差し挟まれていて、いいなと思ったは次の2点。

1つは、サン=テグジュペリの人生を語っているところ。

祖国フランスがドイツと共存する道を選択したために
空軍パイロットだったサン=テグジュペリはアメリカに亡命、そのときにこの物語を書いたこと。
バラの花のモデルは、2度夫を亡くした妻コンスエロではないかということ。
出版後に再び戦地に赴き、敵軍に撃墜されて死亡したことなど。

書かれた背景などのプチ情報が分かると、
物語はよりいっそう味わい深くなりますよね。

もう1つは、愛について、思いを寄せあうことについて語っているところ。

星の王子さまと飛行士。王子さまが思いを寄せることになる一輪のバラの花。
この世の真理を教えてくれる一匹の砂漠のキツネ。
王子さまが偶然にそれらと出会うのです。
その段階では、相手は特別な存在ではありません。
ただの花であり、ただのキツネです。

でも、二人の間に思いを寄せ合う瞬間が生まれ、
その時間が積み重なっていくほどに、
相手はかけがえのない存在となっていくのです。

ほんとうに大切なものは、目に見えない。
あなたを愛する人のその気持ちを物差しで測れないように、
また、あなたがだれかを愛するその気持ちに値段をつけられないように、
私たちの胸のなかにあるもっとも大切なものは、形を見ることもできないし、数値で表すこともできません。
しかし、それがあるかないかは、必ずわかることなのです。

本質をこのように的確に表現されると
詩的な比喩たっぷりの「星の王子さま」がより輝きを増しますね。

しおりやメッセージカードなど、
誰かにあげたくなってしまう楽しい仕掛けつき。
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愛を伝えたい方へのクリスマスプレゼントに、ちょうどよさそう!
特に、男子諸君! 女子はこういうのとても好きですよ~。

【参考情報】

「星の王子さまからの贈り物: サン=テグジュペリの言葉」 ドリアン助川 訳・文 ポプラ社
「星の王子さま」 サン=テグジュペリ 著 内藤濯 訳 (岩波少年文庫 (001)) 

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