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Posted on 2013-10-14
人生にピリ辛さが欲しい大人へ。おすすめ童話
予定調和の話なんてイヤ!
人生にスパイシーさが欲しい、
生きるってきれいごとじゃないわよ、
クスリ、ニヤリと笑いたい~、
と思いつつも、
あたたかい愛や深い真実も味わいたい方に
おすすめの童話があります。
『頭のうちどころが悪かった熊の話』 安東みきえ (新潮文庫)
動物を主人公にした7つの童話と
味わい深い14点のイラストでできたこの本。
どこかズッコケた動物たちにプッと吹き出し、
先の読めない展開に「こう来るか?!」とワクワクし、
ピリッと辛みのきいた結末にホーッとうなる
大人向けの童話集です。
その中の「ヘビの恩返し」は、
ヘビの子どもと父ヘビ、母ヘビの話。
父ヘビは、
食べると過去のことしか考えられなくなる
【カコの実】をパクリと食べてしまう。
一方、母ヘビも
食べると未来のことしか考えられなくなる
【未来の芽】をパクリ。
父ヘビも母ヘビも
子ヘビの教育をさておき、
親らしからぬ行動をする。
子ヘビは一生懸命、親を現実に引き戻そうと奮闘。
クスリとした笑いを散りばめながら
シュールな展開で話は進み、
ほんのり希望とユーモアを含んだ結末へと向かいます。
が、なかなか興味深いシーンもありまして。
それは子ヘビの台詞。
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過去のぼくも未来のぼくも本当のぼくじゃない。
今のぼくだけが本当のぼくって言えるのさ。
今のぼくをきちんと見ろよ。
親だったら正面きって向き合えよ。
――「ヘビの恩返し」より
__________________________
ああ、
しんみり沁みてきますねぇ。
全体にピリッとスパイスがきき、
笑いをまぶした話ですが、
本当に大事なことをこそっと伝えているところが
なんともいい!
さりげなくかわいい挿画イラストもぴったり。
人生の
ほろ苦さやピリ辛さこそいいよねと言う
ヒネくれた大人たちに
ぜひおすすめの1冊です。
あ、それと、
矢野顕子さんの歌が好きな人も
きっと気に入ってくれると思います。
なんとなくですけど。
【参考情報】
『頭のうちどころが悪かった熊の話』 安東みきえ (新潮文庫)
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