「どんな願いでも叶えましょう」 と魔人ジーニーは言った。 どんな望みでも叶えてくれるなんて！ どうしましょう。 海底に眠る、王族の宝石箱。 たくさんのプレゼントをくれる恋人。 おいしいものを食べ歩く世界一周の旅。 自分が… 続きを読む >

私たちは笑っていた。 陽だまりの中、 あなたは光を背中から受けて。 ギターをおもちゃのように弾き、 高らかに歌い、口笛を吹く。 あなたは笑う。見つめる。おどける。 海風が２人をなでていく。 あなたはうつむく。触れる。口づ… 続きを読む >

老木に、もはや記憶はない。 枯葉として落としてしまったからだ。 ただ、幹の穴に手をそっと差し入れてみよ。 樹液の結晶が息を吹き返すかもしれない。 新芽に、もはや希望はない。 枝の中に置いてきてしまったからだ。 ただ、薄く… 続きを読む >

詩と写真の作品集 「Sunny Soul poetry & photographs　anthology vol.1　少女と少年の星」 を今年2月に作成しました。 5編の詩と5枚の写真の小さな作品集です。 テーマ… 続きを読む >

熱い風に吹かれて、 南の島で少女が貝殻を拾い集める。 貝殻はかつてのすみか。 家主は去ってしまったが、 死んだ言葉と記憶を無数に積み重ねている。 少女は手の平いっぱいに貝殻を抱え、 ある時は三日月に腰掛けながら、 ある時… 続きを読む >

空を割って飛び込んできた鳥たちが、 湖面に近づき、 次々と言葉に変わっていった。 言葉は湖の表面ギリギリを滑空し、 跳ねかえるしぶきを浴びて 笑っている。 私は言葉をつかまえようとした。 けれど、 あまりにも早く、 つる… 続きを読む >

サンスベリアは肉厚の葉の内側に、秘密を抱えている。 白と緑と黄緑で織り上げた、まだらの秘密。 見せていることと、見せないこと。 話していることと、話せないこと。 隠していることと、隠せないこと。 けれど、いちばん知られた… 続きを読む >

あなたは大樹だった。 腕を広げて抱きついて、 胸に耳を当てると、 トクトクトクと鼓動が聞こえた。 辛いことがあると、 あなたに寄りかかった。 大きく安らげる木陰を作ってくれ、 強い日差しから守ってくれた。 喜ばしいことが… 続きを読む >

言葉は、線路のない道を駆け抜ける汽車。 私という駅を通過し、 あなたという駅へと向かい、 また別の誰かへと走る汽車なのです。 客席には、 １度も楽譜を書いたことのない大作曲家がいます。 生まれて間もないのに饒舌な赤ん坊が… 続きを読む >