ブログ / 働くこと
Posted on 2013-11-28
どの仕事にも役立つデザイン書:佐藤オオキ「ウラからのぞけばオモテが見える」
「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、初めて佐藤オオキさんを知り、
そのすごさに圧倒されました。
(詳しくは、超人的なねばり強さに圧倒された! NHK「仕事の流儀」佐藤オオキ という記事に)
紹介されていたデザインは、今までなかった新鮮さがありつつも、
人の心や生活に寄り添っている感じがしたんですね。
佐藤さんに興味がわいたので、
さっそく著書の「ウラからのぞけばオモテが見える―佐藤オオキ/nendo・10の思考法と行動術―」を一読。
これがまたスゴイ!
単なる商品のデザインでなく、デザインを変えるというプロジェクトを通して
クライアント会社の意識改革にまで至っていたんです。
日常に寄り添いつつ、常識を崩す発想法とは?
じゃあ、どうやって佐藤さんはアイデアを引き出しているんだろうって気になりますよね?
その発想法は、徹底的に日常に寄り添っていました。
「とにかくデザイン以外のことは何もしません。
アイデアを出すために何か特別なことをするということもありません。
そう意識して、常に脳を空っぽにしています。
そうやって日々のルーティンワークのなかで気付くことを大切にしています」
「日常のなかでひっかかってくるもの、違和感を感じるもの……
全身が『フィルター』のイメージです。
日常生活のなかで空気や水のように身体を通り抜けていく要素がある一方で、
フィルターにひっかかってくるわずかな差異のようなものがあります」
「ひっかかったものが小さければ小さいほど良く、『すごい』ものである必要はありません。
微細なものたちを丁寧に集めることで形作られるもの、
これが自分にとってのデザインです。またひっかかった要素を集めることで、
このフィルターは定期的に『掃除』されます。
そうすることでまた、フィルターにひっかかりやすくなるのです」
一点集中させることなく、全体をぼんやり捉えながらも、
感覚は研ぎ澄ませる発想法。
アイデアって意識を集中させて出すものだと思いがちなのですが、
佐藤さんの場合、違います。そこが驚きでした。
「がんばればがんばるほどアイデアは逃げていってしまうものです。
目的意識を持つ、つまりアンテナをはってしまうと、
自分自身の周囲にバリアを作ることになってしまい、
周りを見えにくくしてしまいます。探し物を頑張って探しても見付からないのと一緒で、
あえて焦点を絞らないようにしているんです。
全体や周囲にあるぼやっとしたものをぼんやりと目にすることで、
より広い世界が見えてきます。周囲の状況を認識しながら次の瞬間を推測するスポーツ選手の周辺視と似ています」
1 退屈なルーティンワークを楽しむ。
2 がんばってアイデアを探さない/アンテナをはらない。
3 物事に焦点を絞らない。「このようなスタンスでいると、
『違い』がひっかかってきやすくなりますが、
こうした違和感にも規則性やルールがあるのかもしれません。本来はAのはずなのになぜかBのように感じてしまった、ということです。
そこでデザインをするときには、
なぜかBのように感じてしまうものはなんなのか?と考えていくようにします。このことは『Bをデザインする』作業とは違います。
実在するものではなく、意識のなかの現実。
これは、アイデアの可能性を広げてくれる手助けとなります」
ありふれた日常で感じるささいな違和感を拾い、
そこを深堀りしていく姿勢。
これって簡単そうで、なかなか難しいもの。
ささいな違和感って、そのときは「あれっ?」と思っても、
終わってしまえば忘れ、なかったことにしがちなのです。
気づかないふりをしたり、無意識に無視したりということも。
また気づいても、深掘りなんてしていられないよというのが、ふつうではないでしょうか。
ここを丹念に拾い、掘り下げていくという姿勢に感銘。
あれっ?
これってもしかして、どんな仕事でも大切な姿勢だったりするでしょうか?
イノベーションを起こしたい場合では、特に。
この姿勢、積極的に取り入れてきたいですね。
本書は、オオキさんのデザインオフィスnendoが手掛けた作品も
写真付きで掲載。
1つひとつが楽しく、
「こんなのなかった!」「これ、欲しい!」と心動かされるものばかり。
(私は、「GUNDAM展」における
ガンダムの残像を生かしたデザインに衝撃を受けた!)
後半、デザイン事務所経営の難しさという現実や
未来のヴィジョンも書かれており、奥行きがあって興味深い。
今の仕事に突破口が欲しい方、
新しいアイデアを生み出す方法が知りたい方、
日常を新しい目で見つめ直したい方、
ブランディングに興味のある方、
ぜひおすすめの新刊です!
読むだけで意識が刷新されますよ。
【参考情報】
ウラからのぞけばオモテが見える―佐藤オオキ/nendo・10の思考法と行動術― 佐藤オオキ 川上典李子・共著 日経デザイン編 日経BP社
NHKの「プロフェショナル 仕事の流儀」
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