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Posted on 2014-03-08
原作のムーミンは、きめが細かく味わい深い童話でした

原作のムーミンを初めて読みました。
「たのしいムーミン一家」トーベ・ヤンソン著 山室静訳(講談社文庫)

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電車移動用の本と決め、おいしいケーキを惜しんで食べるように少しずつ…ね。

実に味わい深い童話でしたねぇ。
いろんな意味でとても惹かれました。

私はアニメをほとんど見てなかったので、実はどんな内容か知らなかったんです。
意外に人間味(ムーミン味?)あふれるストーリー。

きっちりとした勧善懲悪ではなく、
温かみや優しさの一方で、嫉妬、欲張り、いじわるもある。
マイナス感情も肯定されています。

自由で気まま。
静かな気持ちの揺れ。
少し前向き。
生活の中の小さな楽しみ。

こんな要素が詰まった(私の大好きなものばかり!)童話でした。

ムーミンはスナフキンのこと、とても大切に思っているんですよね。
いじらしいくらいに。
それを上手に表現しているシーンを2つご紹介します。

これは、スナフキンが旅立ったときの話。

 スナフキンは、まだかえってきませんでした。
 こんな晩には、スナフキンはよくハーモニカをふきながら、1人でそこらをぶらつくのです。
 でも、今夜は歌もきこえてきません。きっとスナフキンは、探検の旅にでたのでしょう。まもなくあの人は、家の中でねむるのをことわって、川のそばにテントをはることでしょう。
 ムーミントロールは、なんだか悲しくなって、ため息をつきました。でも、どうして悲しくなったのだか、それはわかりませんでした。
 ちょうどそのとき、庭のほうから、かすかな口ぶえがきこえてきました。ムーミントロールのむねは、大きくはずみました。そっとつまさき立ちして、窓のところまでいって、外をのぞきました。
 その口ぶえは、
「ひみつ!」
 と言う意味でした。

どうです?
何だかいいでしょ。

大好きなスナフキンが1人で旅立ち、気持ちがふさいでいるムーミン。
それも、その気持ちの意味は分からないままです。

これってよく分かりますねぇ。
自分の今抱えている気持ちが分からないって、ありますよね?

で、スナフキンの口ぶえを聞いて、ムーミンは心躍らせる。
けれど、その意味は「ひみつ!」ですって!
んもう~~~。
この距離感、たまりませんな。

本の最後には、こんなシーンもあります。
「飛行おに」という妖怪(?)が出てくる話です。

 そのとき飛行おにが、さっとマントを一ふりしました。と、たちまち悲しみは、ムーミントロールの心から、とびさっていきました。スナフキンにたいするあこがれは、また会える日を待ちうける心にかわってしまったのです。そしてこのほうが、ずっと気持ちのよいものでした。

ここもいいですねぇ。
悲しみが待つ楽しみにさっと変わる瞬間。

魔法のように一瞬にして気持ちが切り替わることって
日常生活でもありますもんね。
その心地よさをうまく表現しているな~。

こういうきめ細かい気持ちを表現している文章、
私、大好きなんですね。

他にはムーミンとスノークのおじょうさん(フローレン)の
淡い恋物語もとても興味深いです。

ムーミンって、基本的にはフローレンに優しいんだけど
ときどき無神経な言動をしてグッサリ傷つけたり(笑)、
フローレンはムーミンを喜ばせようとするんだけど
そのせいで嫉妬心を燃やしたり(笑)

何ともかわいらしいカップル♪
「ある、ある」と深くうなずいたのは、私だけではあるまい…。

ムーミンママとムーミンパパもいい味出しているんですが、
その話は、また次回に!
 
あ、そうそう。
ムーミン公式サイトなるものを発見!(注:現在、サイトはありません。2014/06/04)
そこでの情報によると、
トーベ・ヤンソン生誕100年記念「MOOMIN!ムーミン展」が
4月に松屋銀座で開催されるようです。
こちらも楽しみだな~♪

【参考情報】

「たのしいムーミン一家」(講談社文庫)
ムーミンカフェ

【ムーミンに興味のある方はこちらの記事も】

ムーミンカフェでフィンランドのシュワシュワを味わう


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